ヒメアノ〜ル

湿気の多い日本ならではのアレックス(時計仕掛けのオレンジ)と化した森田剛おみごと!

 
発表からの期待を胸に
2016.06.01
やっと観てきましたヒメアノ〜ル
 
以下たぶんネタバレ抑えられない気がするので
間違って開いちゃった方は
これ以上読み進めない方がご賢明かと
 
 
 
先程時計仕掛けのオレンジを対比に挙げたが
もう二つ頭を過るのが
「渇き。」の意味のないバイオレンスと
グラスホッパー」の蝉のあっけらかんとした血みどろ
 
前者は自己映画鑑賞史上最悪最低の作品であり登場人物になんの感情も添えない劣悪作品
後者は山田涼介天晴れのドライなバイオレンス
 
この二作に並べると
森田剛扮する森田の湿気といったら
じとじとと身体にまとわりつく不愉快極まりない狂気
でもその湿り気を得た狂気が
おそらく厨二病的敗者希望の星となって
背中合わせのダークヒーローになりかねない爽快さ
 
そこがたぶん
日本特有の湿気を帯びた時計仕掛けのオレンジ主人公アレックスくんになり得る要因な予感がした
 
さっきから
湿気湿気とうるさいが
おそらくこの作品に是を唱えた多くの人が涙するラストシーンの
「麦茶2つ持ってきて」無垢な主人公森田の瞳にまとわる日本の夏キンチョーの夏にも
しっかり湿気は存在する
そう
それはまるでサマーウォーズの爽快かつしちめんどくさい日本特有の家族のしがらみ携えた狂った湿気とよく似てる
 
森田剛しかこの役を演じられないと思ったいちばん好きなシーンは
高校時代教室でいじめっこ主犯に
よくある羽交い締めされるでもなく
まるでマインドコントロールされているとみせかけ
もう自己が空中分解してくれと望むほどに
自らパンツを下ろし公開自慰をしてさせられ
それをしながら濱田岳を見つめる
一見虚ろに見えて哀しいまでに自己意識の存在するその眼
これに集約される
 
後で恐怖に駆られた濱田岳扮する岡田が
その場面に謝罪すると
「覚えてない」と軽く言い放つサイコパスと成った森田の眼との使い分けが
たまらなく好きだ
 
このシーンでこの役は森田剛しか演じられないと確信した
 
あわよくば世捨て人に成り果てた森田を
アイマスクとヘッドホンのアップで
スタイリッシュに映し出す
これが森田剛じゃなきゃいけない由来
 
そして哀れ惨めな姿で連行され
そこで無垢なあの頃の瞳に戻れる
泥臭くも美しくやっと此処に来れたねと
主人公と魂を重ね合わせるあの美しくも汚いシーンは
やっぱり誰に置き換えても森田剛でしかあり得ない
 
森山未來風間俊介では泥臭さに寄るだろうし
二宮氏ではいくぶん綺麗すぎるし
ましてや斗真や山田涼介ではなおのこと
 
これみんなビジュアル含め愛してやまない化けられる若手役者馬鹿陣です
 
今更ながら
脇の域をすれすれで喰いかねないムロさんや
決して脇の域を飛び出さずに光り務める濱田岳の存在も適材適所すぎて文句なし
 
今回大きな鑑賞収穫は
愛くるしい童顔併せ持つ小気味良くそそられるエロっぷり佐津川愛美ちゃん
鈍獣ギャルサーの頃も観るといいなと思ってたが
この子は年輪重ねれば重ねるほど熟れて化ける予感
 
惜しげない胸のさらけっぷりに
ああほんとにこの役が間違って前田のあっちゃんなんかに振られなくてよかったと感謝したじゃん
 
なんにしても
森田剛くん以上に拍手喝采しなきゃいけないのが
吉田恵輔監督でしたね
 
この方
本当に素材の良さを新鮮さを損なわず
食べ時にさっとレアに調理してくる名シェフ
「さんかく」なかなかと思ったら
馬車馬さんやら銀の匙やらで
ジャニメンの秘められた資質いい塩梅に調理しなさる
 
なんといっても唸った好きなシーンが
殺人と性交のシンクロ構図が
尺よしテンポ良し非の打ち所なし絶妙
 
生と死の危うさ
麻薬めいた快感
往来で人様には見せられない恥辱感
人間の肉体も所詮単なる動物感
そして押しては引いた末の絶頂感
 
山ほどの表現者
背中合わせの性交と死を重ね合わせたのに
2016年の現在
種の保存と快感併せ持つ性交と
ギリギリの死の恐怖快感を(ブラスだからこその放尿も天晴れ!とコソッと)
シンクロさせた監督には惚れた
 
ムダなシーンがひとつもない編集もおみごと!
グロも当然必須だけど
全編暗めに
フィルムめいた質感もかなりなフィクション具合で心地良い
 
まあなんにしろ
監督始めキャストスタッフ
どれも惜しい!がひとつもなくて
なんといっても森田剛なくしては成立しない映画ヒメアノ〜ルの世界観が
個人的に大好きです!
 
2016半ば
早くも今年も良いもの観られたぞの満足感☆